グリオーマの最新療法動向
グリオーマは他の癌同様、現状、標準治療とされているものは3つしかない。
※ 標準治療 : 効果が認められている治療
1) 手術
2) 放射線療法
3) 化学療法 (抗がん剤)
グリオーマは浸潤性の腫瘍であり、腫瘍細胞と正常細胞の境目が判断できず、手術での100%除去は不可能である。ただし、手術による摘出率の高さが予後に大きく影響するため、どれだけ摘出できるかは重要である。さらに放射線、抗がん剤も初期は腫瘍縮小等の効果があるが、徐々に耐性ができ、全く効かなくなる時が来る。つまり、完治できないのである。
※ グレード2〜4: 増殖スピードが異なる
しかしながら近年では、第4の標準治療として期待できる様々な医療技術が開発されており、成果も見えつつある。本ブログでは、グリオーマの最新医療動向 (2019年5月時点) についてまとめる。
<1.免疫療法>
自己免疫システムに腫瘍細胞を外敵と教え込ませることで、免疫システムに腫瘍細胞を攻撃させる。腫瘍細胞の増殖を抑える。
① WT1ペプチドワクチン
<2.溶解性ウイルス療法>
ウイルスが腫瘍細胞を直接破壊する。また破壊された腫瘍細胞から、自己免疫システムが腫瘍を外敵と見なすようになり免疫システムが腫瘍を攻撃するようになる。
膠芽腫(グレード4)が対象だが、固形がん全般に効果。今年、世界初のウイルス療法薬の製造販売申請予定(第一三共)。
② ポリオウイルス : デューク大学
膠芽腫(グレード4)の治験者の2割の人が5年以上生存、再発なし。
③ ジカウイルス : 米国
脳腫瘍幹細胞を、ジカウイルスが特異的に 標的とする。マウスで実験している段階。
④ アデノウイルス : 岡山大
がん抑制遺伝子をアデノウイルスに組み込んだ製剤を投与する遺伝子治療の治験を、2019年6月にも開始。
<3.光免疫療法>
抗体を注入し、近赤外線光を当てるだけで腫瘍細胞が直接破壊される。また、死滅した腫瘍細胞から、自己免疫システムが腫瘍を外敵と見なすようになり免疫システムが腫瘍を攻撃するようになる。
米国が先行:既に第二相治験完了。
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)
<4.核酸>
マウス実験では脳腫瘍や膵臓がんを治療できた。東京大と名古屋大、川崎市産業振興財団の研究チーム
【グリア細胞: 神経膠細胞】
1) 神経細胞の位置の固定
2) 神経栄養因子の合成・分泌
3) ミエリンの構成要素
4) カリウムなどのイオン再取り込み
5) 神経伝達物質の回収
6) 血液脳関門を形成しフィルタの役割
また、グリア細胞は数種類あり
1) ミクログリア
中枢神経系で食作用を示し免疫のほか異常代謝物などの回収を担う細胞。
2) アストロサイト(星状膠細胞)
中枢神経系に存在。最も細胞数が多い。脳内の血管壁に張り付いて栄養分を吸収して神経細胞に与える一方で、脳血液関門として脳に有害な物質が侵入するのを防ぐ。細胞体からスポンジのように複雑な形の突起を伸ばして、脳の空間を満たしている。近年、アストロサイトが単なる支持細胞としてだけではなく、脳の機能の高度化にも関わっている可能性が指摘されている。
3) オリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞)
中枢神経系に存在。神経伝達速度を上げるためのミエリン鞘を作る。
4) 上衣細胞
5) シュワン細胞
6) 衛星細胞